「美術館で子どもに何を話せばいいの?」
先日、家族で「大ゴッホ展」に行ってきました。
私が以前から大好きな「夜のカフェテラス」が展示されると知って、楽しみにしていたんです。でも実際に美術館に入ってみると、4歳の長男が絵を指差して「これ何の絵?」と聞いてきて…。私の答えは「お花の絵だよー、きれいだねー」(笑)。夫もアートには詳しくないので、ふたりで見たまま感想を言うだけで精一杯。
それでも息子はお気に入りの作品を見つけてポストカードを買っていたので、楽しんでくれてはいたのですが。もうちょっと、子どもとアートについて語り合えたら…と感じました。
「どう説明すればいいかわからなくて美術館に行くのをためらっている」そんなパパ・ママ、意外と多いのではないでしょうか。
アートは「難しいもの」ではなく「語り合うもの」
アートに苦手意識を持つ大人は少なくありません。「ちゃんと説明できないと恥ずかしい」「難しいことを知っていないといけない」そう思っていませんか?でも本当は、アートに「正解」はありません。
フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を見て「きれいな人だな」と感じる。ゴッホの「星月夜」を見て「空がぐるぐるしてて不思議」と感じる。
それで十分なんです。
問題なのは、「難しく語らなければいけない」という思い込みが、子どもとアートを楽しむ入口を塞いでしまっていること。
親がアートを楽しんで語り合う姿を見せることが、子どもの感性を育てる一番の近道です。
子どもとアートを楽しめない!よくある3つの原因
原因1:アートの「語り方」を知らない
「この絵は〇〇時代の〇〇主義で…」といった難しい解説をしなければいけないと思っていませんか?そんなことはありません。でも「じゃあ何を話せばいいの?」という「語り方」を知らないと、美術館に行っても沈黙してしまいます(それもまた、いい時間だとは思いますがうちの長男はおしゃべりなので何かしゃべるネタが欲しくなります。そんなご家庭も多いはず!)
語り方さえわかれば、アートはぐっと身近になります。
原因2:本物を見る機会が限られている
フェルメールの絵を日本で見るには、数年〜十数年に1度しかないような展覧会を待つしかないことも。数年前に東京でフェルメール展が開催されたときは大盛況だったと聞きます。ゴッホ展も、今回は震災復興の一環で今年・来年と比較的近い福島で開催が決まっていますが次はいつ来るかわかりません。
有名な絵画を「いつでも気軽に見られる環境」がないことが、アートを遠ざけている理由のひとつです。
原因3:難しく考えすぎて楽しめていない
「せっかく美術館に来たのだから何か学ばせなければ」と気負いすぎると、大人も子どもも疲れてしまいます。幼児期のアート体験は、「好きな絵を見つける」「何かを感じる」だけで十分価値があります。
なんとなく有名な画家や作品を知っている、というレベルでも、幼児期はOKなんです。
また、最近の美術館では絵本作家さんの展示を行っていることもあります。たとえば現在全国を巡回中なのが「だるまさんが」で有名なかがくいひろし展。「はらぺこあおむし」のエリック・カール展も比較的、頻繁に開催されています。
そういった「身近な絵本作家さんの作品を楽しむ」というのも美術館の楽しみ方としておすめです。
特に絵本作家さんの展示は、子どもがはしゃいでもOK!遊べるコーナーもあり!というところが多いのではじめての美術館にぴったりです!
「ミッフィーと絵かきさん」が親子のアート入門書になる
子どもと美術館をもっと楽しむ方法はないかな…と思い探してみつけたのが、絵本「ミッフィーと絵かきさん」シリーズです。
「ミッフィーとフェルメールさん」「ミッフィーとほくさいさん」「ミッフィーとマティスさん」の3冊セット。
どの絵本でも、ミッフィーが家族と一緒に画家の作品を見に行く、という構成で進みます。
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こどもと絵で話そう ミッフィーと絵かきさん 絵本セット(全3冊) [ 菊地敦己 ]
読んでわかった「子どもとの語り方」
たとえば「ミッフィーとフェルメールさん」では、「牛乳をそそぐ女」「真珠の耳飾りの少女」など有名な絵画が実際の作品画像として登場します。
「牛乳をそそぐ女」のページでは、ミッフィーが「何かお料理をしているけれど、どんな味がするのかな?」と子どもらしい感想を言います。するとお父さんが「パンを牛乳とお砂糖に浸して柔らかくして食べるお料理をしているんだよ」と、子ども向けにわかりやすく教えてくれます。
「難しい解説は必要ない。子どもが注目したものを一緒に見て、作品横の解説文からかいつまんで話せばいい」んだと気づかせてくれました。
「この人、何してると思う?」「どんな色が使ってあるかな?」と一緒に眺めて語り合う。
それだけで、美術館体験はぐっと豊かになります。
有名作品をいつでも「絵本」で見られる
| 絵本 | 登場する画家 | 主な作品 |
|---|---|---|
| ミッフィーとフェルメールさん | ヨハネス・フェルメール | 牛乳をそそぐ女、真珠の耳飾りの少女 |
| ミッフィーとほくさいさん | 葛飾北斎 | 富嶽三十六景、神奈川沖浪裏 |
| ミッフィーとマティスさん | アンリ・マティス | ダンス、金魚 |
フェルメールの絵を日本で見るのは難しくても、絵本ならいつでも手に取れます。「絵本でいつでも見られる→美術館で本物を見てみたい!」という流れが自然に生まれます。
次回の美術館は、絵本で予習してから行こうと思っています。
もっと詳しく知りたくなったら:小学館図鑑NEO「はじめての絵画」
アートへの興味が深まってきたら、図鑑もあわせておすすめです。
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小学館の図鑑NEOアート 図解 はじめての絵画 [ 青柳 正規 ]
有名な絵画が豊富に収録されていて、画家の解説もわかりやすく書かれています。
ミッフィーの絵本で「見て感じる」体験を積んだあとに、図鑑で「知識として深める」という順番が特におすすめです。
今日からできること3つ
アクション1:「ミッフィーと絵かきさん」を一冊手に取ってみる
3冊セットでなくても、まず1冊からでOKです。
子どもが知っているミッフィーが、知らない画家の作品を見に行く。
その自然な流れが、アートへの興味の入口になります。
まずは絵本の中から、1枚の絵について話してみるだけでもOK.さらっと読んでみて、どの絵が好きだった?と話すのもいいですね。好きな理由なんかもきいてみると、子どもらしく、意外な理由が聞けるかも?!
長男はフェルメールの「手紙を読む青衣の女」が気に入ったそうです。理由は「青い色がきれいなのと、女の人がかわいいから」。美しい青が特徴的な絵画で、子どもなりにそんなところを感じ取っているのかな、と思います。
アクション2:美術館では「子どもが気になったものを一緒に見る」スタイルで
解説を完璧に伝えなくていいです。「これ、どんな色が使ってあるかな?」「この人、何してると思う?」と子どもの目線から語りかけてみてください。
「正解を教える」より「一緒に考える」が、幼児期のアート体験では大切です。
アクション3:お気に入りの作品のポストカードを買って飾る
美術館のミュージアムショップで、子どもが選んだお気に入りの作品のポストカードを買ってみてください。部屋に飾ることで「あの美術館で見た絵だ」という体験の記憶が残り続けます。
ポストカードなら手軽ですし、ちょっとかっこよく飾りたい!という場合は、100均でポストカード用の額縁を買ってきて入れると一気に高級感が!(笑)
長男も今回のゴッホ展でお気に入りを見つけてポストカードを選んでいました。子どもなりに、自分の「好き」を持てるのがいいなと思っています。
アートは「難しいもの」じゃなく、親子で楽しむもの
大ゴッホ展で「うまく説明できなかった」あの日から、ひとつ考え方が変わりました。
親がアートのすべてを知っている必要なんてない。子どもと一緒に「どう思う?」と感じ合えればそれでいい。「ミッフィーと絵かきさん」はその語り方を、ミッフィーとお父さんのやり取りを通じて自然に教えてくれます。
余談ではありますが、私はアートには明るくありませんがゴッホの「星月夜」が好きでした。今回の展示では「星月夜」はなかったものの、「夜のカフェテラス」という作品が私に刺さりました。
同じ「夜」を表現した絵。ゴッホは「夜」の表現に黒を使わず、青や藍を使って描いており、これは当時珍しい描き方だったそうです。
ゴッホの「夜」が、どこかあたたかく優しい雰囲気をかもしだしていたのは「黒」を使っていないからなのかも、と感じました。
そんな風に、美術館では新たな気づきや新しい絵との出会いも得ることができます。
フェルメール、葛飾北斎、マティス、ゴッホ。難しく構えなくていい。絵本を開いて、親子で「どれが好き?」と話すところから始めましょう。
そして、ぜひ気負わずに、気軽に美術館に親子で出かけてほしいな、と思います。
ゴッホ展は5月29日から東京・上野の森美術館で開催されています!
大ゴッホ展詳細はこちらから☚
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